2018年10月13日
随分空気が澄んだと、夜、空を見れば、火星の輝きが弱々しくなっている。大接近していた夏の間ずっと、燃えるようだった。あの赤い光の記憶は異様な暑さとともにある。列島は災害に見舞われ通しだった。被災地の空に輝くのを思い出す方 […]
2018年10月12日
ミステリーの女王、アガサ・クリスティは、まるで自分がミステリーの主人公になったかのような事件を起こしている。よく知られる十一日間の失踪事件だ▼乗っていた車が、田舎道に捨てられ、車内に身の回りの物もあった。そのころ夫には […]
2018年10月11日
米国の心理学者が卒業アルバムを使い、変わった研究をしている。卒業アルバムの写真を何百枚と集めて、その笑顔を分析する。笑っているかどうか。それは満面の笑みか▼笑顔の度合いと写真の人物の結婚生活を検証してみたところ、あまり笑 […]
2018年10月10日
明治期の大関、朝汐太郎(初代)は若い時、しこ名を変えてはと親方から勧められた。「朝汐なんていう素人相撲にありそうな安っぽい名はやめろ」。朝汐は首を横に振ったそうだ。「自分が出世したら朝汐でも立派に聞こえましょう」▼金の […]
2018年10月7日
一九四五年十二月、フランス赤十字の一員としてポーランドのワルシャワに勤務していた女性医師マドレーヌ・ポーリアックさんは恐るべき事実を知る。カトリック教会の複数の修道女が旧ソ連軍によって集団で性的暴力を受け、妊娠させられ […]
2018年10月6日
あまり見かけない「俥」という漢字は「くるま」と読んで人力車を意味する。右側に車があり、人偏はそれを引く人だ。なかなかうまくできた漢字で、辞典には「日本製」ともある。車夫がかじ棒を握って街を走る姿も、想像できる字だろう▼ […]
2018年10月5日
明治時代に来日した英国の女性旅行家イザベラ・バードの旅は、古き良き人々との出会いの日々でもあった。貧しくても子どもを絆に楽しく暮らす家族、礼儀正しい肉体労働者たち、もてなしてくれる田舎の宿の主人…。約二千キロに及ぶとい […]
2018年10月4日
「大群獣ネズラ」は、東宝の「ゴジラ」の人気に対抗して当時の大映が企画した怪獣映画。一九六三(昭和三十八)年というから大映のヒット映画「ガメラ」より前の話である。主役は巨大化したネズミの大群。鳥の群れが人を襲うヒチコック […]
2018年10月3日
ジム・モリス投手と聞いて、ぴんとくる人は野球ファンでも少ないだろう。大リーグ通算成績は登板二十一試合で、零勝零敗。防御率四・八〇。実働は一九九九年と二〇〇〇年の二シーズンのみ。成績だけなら見るべきところのない投手かもしれ […]
2018年10月2日
大相撲の世界で「恩返し」といえば、入門当時、稽古をつけてもらった先輩力士に土をつけることである▼世話になった人に勝つことが「恩返し」。先輩力士にすれば、おもしろくないかもしれないが、科学研究者の世界にも、こういう「恩返 […]