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 スーパーに鬼の面が置いてあった。きょうは節分である。鬼やらいの豆を買えば、一枚いただけるらしい。手に取ってみると、この鬼の面がまったく鬼に見えぬ。なるほど、顔は赤く角もあるのだが、怖くはない。それどころか、むしろ、かわ […]

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 タイタニック号には、沈没の一時間ほど前を含め一日に六回も氷山に関する警告が届いていたそうだ。高度の安全設計を誇っている船でもある(ダニエル・アレン・バトラー著『不沈 タイタニック』)。最近、豪華客船を世界に見立てた例え […]

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 『徒然草』で、自然を語り、芸を論じ、人生訓を説いた吉田兼好が、長い随筆の締めくくりにしたのは、父との少年期の思い出話である。八つになった年のこと。「仏はどんなものでございますか」と尋ねると、父は「人がなっているのだ」。 […]

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 「…………。結局、なんていうのか。………………。よく分かりませんね。………。…………。………。時々-。……………………」▼パソコンの不調ではない。小説の一部を写している。実際の「…」はもっと長く、一ページ近く続いている […]

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 落語家の林家たい平さんが雨宿りをしていたときの話だそうだ。かなり強い雨だった。たまたま茶髪の「兄ちゃんと姉ちゃん」も雨宿りしていた。「兄ちゃん」が強い雨にこう言った。「すげえなぁオイ。飛ぶ鳥を落とすような勢いの雨だな」 […]

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 テニスを題材にした山本鈴美香(すみか)さんの「エースをねらえ!」の「週刊マーガレット」連載開始は一九七三(昭和四十八)年というから半世紀近く前になった。当時、テニスの知識、情報は今ほど一般的ではなく、15、30、40と […]

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 インドのとんち話にこんなのがあるそうだ。ある夜、家に盗っ人が押し入った。だが、番犬は吠(ほ)えなかった。ロバがなぜ黙っていたのかと注意した。犬は「これまで再三、吠えたが、主人が褒めたことはない」と答えた▼別の晩、また盗 […]

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 米航空宇宙局(NASA)が二〇一一年におもしろい発表をしている。題名は「NASA研究者が選んだ科学的にもっともらしいSF映画ベスト・ワースト」▼ベスト部門一位は米映画の「ガタカ」(一九九七年)である。遺伝子の改良によっ […]

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 仙人がある酒館に行くと主人が酒を気前よく出してくれた。しかも、お代を取らない。仙人はその後もたびたび訪れては酒をごちそうになっていた▼数年後、仙人が「酒代もだいぶたまったでしょう。今日は少し払いましょう」と言い、何を思 […]

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 シェークスピアは『ハムレット』で書いている。<神がひとつの顔をお与えになり、人がこれを別の顔にする>。天与の才は人それぞれ。大切なのはどう生かすか。そんなふうに読める▼権藤博さん。飛び抜けた才能を授かった野球人だろう。 […]

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