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 一九九三年の発表というから携帯電話が爆発的に広がる前夜の歌だろう。森高千里さんが作詞し、歌ったヒット曲『渡良瀬橋』に記憶に残る一節がある。<床屋の角にポツンとある/公衆電話おぼえてますか/きのう思わずかけたくて/なんど […]

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 敗戦後、進駐軍の接収などを受けて、建物や公園の名称が日本名ではなく英語名に一時的に変わった。かつての東京宝塚劇場は米従軍記者の名から「アーニー・パイル」。横浜公園球場はヤンキースの強打者にちなみ「ルー・ゲーリッグ・メモ […]

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 両国橋の上で俳諧師の宝井其角(たからいきかく)はかつての弟子にばったり出会う。男は煤竹(すすたけ)売りに身を落としている。あまりの変わりように其角が驚き、こう発句する。<年の瀬や水の流れと人の身は>。煤竹売りはこう返す […]

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 「白黒で三千円、カラーで五千円」。男が耳元でささやく。男がお金を取って見せようとしているのは昔のテレビ番組。倉本聰さん脚本のドラマ「6羽のかもめ」(一九七四年放映)の一場面である。テレビの低俗化に業を煮やした政府がテレ […]

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 地中海マルタ島。一九八九年十二月、米国とソ連が冷戦終結を宣言したマルタ会談が行われたのは、東部の港バレッタに停泊したソ連の客船の中だった。日本では平成になった年で十一月にベルリンの壁が崩壊。世界が大きく動いた年だった▼ […]

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 どんな花も、咲くためには時を待たなければならない。女優の赤木春恵さんの場合、駆け出しのころから、自分こそは、遅咲きなのだとかたく信じていたという。<四十歳か五十歳になったときに、満開の花を咲かせれば>(著書『わたしの遅 […]

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 向かい合った二人の横顔なのか、一個のつぼなのか。簡単な図形が、異なる二つのものに見える。あの有名な図形は、心理学者の名から「ルビンのつぼ」などと呼ばれるそうだ。見るたびに、人の知覚の不思議を感じさせる図形だろう▼図形だ […]

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「センイチ」と聞いて、思い出すのは昔の野球選手の名前ぐらいだが、戦後、米軍キャンプを回るジャズ楽団員には欠かせぬものだったそうだ。当時の隠語でジャズの有名曲を集めた楽譜集のことをいう▼センイチとは千一で、たくさんの曲が載 […]

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年の瀬が近づくと聞きたくなる落語の「芝浜」。魚屋の熊さんはどうしてもお酒がやめられず、ついには仕事にも行かなくなる▼働いておくれよとせっつくおかみさんに「明日っから必ず仕事に行く。だから、きょうだけは思う存分、飲ませてく […]

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米フォーク・ロックのママス&パパスが一九六六年にヒットさせた曲、「夢のカリフォルニア」。題名だけを聞けば昔の海外旅行の宣伝文句みたいで、明るく健康的なイメージがわくが、歌の内容はかなり寂しい▼舞台はカリフォルニアではなく […]

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