2018年8月12日
【あたぼう】。江戸語の辞典などによると文政期に流行した当たり前を意味する擬人称(人になぞらえた表現。けちんぼうなど)で漢字では「当坊」と書くそうだ▼落語の「大工調べ」の中に大工の棟梁(とうりょう)が「あたぼう」のいわれを […]
2018年8月11日
夏の朝、磯野家の時計が止まってしまった。サザエが近所のおばあさんに時間を尋ねる。まだ七時半と聞いて一家は安心するが、季節は時計の針を進めているはずのサマータイム。念押しすると、おばあさんは<ちゃんと一時間おくらしてあり […]
2018年8月10日
ほほはこけて、声の量も乏しい。それでもなお、迫力を感じるのは、視線の力強さか、冷静で決然とした語り口か。亡くなる十日余り前の先月下旬、記者会見に臨んだ翁長雄志沖縄県知事の映像をみると、衰えぬ強い意思を感じさせる顔がある […]
2018年8月9日
晴れた空には、妙なものが見えた。<落下傘が二つふわふわ降りてきよるバイ、おかしかねえ>。長崎測候所で、観測当番が言う。天気図の修正をしていた所長が立ち上がった。<広島に落とされた新型爆弾かもしれない、早く防空壕(ごう)に […]
2018年8月8日
高利貸として悪名高いシャイロックは、聖書の物語を引き合いに出し、自らの儲(もう)け方の正しさを説いた。借金を申し込みに来たアントーニオは言う。<悪魔でも聖書を引くことができる、身勝手な目的にな>。シェークスピア『ヴェニス […]
2018年8月7日
快晴の夏休みなのに、公園に人影はなく、セミの大声ばかり響く。遊具やベンチはさわれないほど熱い。週末でも都心は人通りが少なくて、今年の街の景色はいつもと違う。列島のどこかで暑さが猛威をふるう中、きょうは立秋。実感はないけれ […]
2018年8月6日
<ただ思っている あなたたちはおもっている 今朝がたまでの父を母を弟を妹を (いま逢(あ)ったってたれがあなたとしりえよう) そして眠り起きごはんをたべた家のことを>▼峠三吉「仮繃帯(ほうたい)所にて」(『原爆詩集』収 […]
2018年8月3日
ボクサー上がりという哲学者が古代ギリシャにいた。クレアンテスというストア学派の大家だ。もともと拳闘家で、立派な体格の人物と伝えられている。きわめて貧しく、昼間に哲学を学ぶかたわら、夜は庭園の水くみをして、生計を立てたそう […]
2018年8月2日
作家の向田邦子さんは一九六四年の東京五輪の開会式で聖火台に火がともるのを見て、「わけのわからない涙があふれてきた」と書いている。ちょうど家族から離れて暮らすことになったところで五輪と自分の独り立ちへの決意や感傷が涙とな […]
2018年8月1日
「そよとの風にも震えるが、どんな重荷も運んでいく」はカナダ、「道を作ってくれたら、どこまでだって行くよ」はペルー、「あれば…ただ同然。なくなれば、さあこれほど高価なものはない」はアラブ。日本には「切っても切っても切れな […]