「プランB」といえば、「次善の策、代替策」という意味である。当初の計画(プランA)がうまくいかぬ時、「では、プランBでいくか」というふうに使う▼地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱するとトランプ米大統領が表明した時に、フランスのマクロン大統領は、こういう言葉で決意を口にした▼「(温暖化対策に)プランBはない。プラネットBがないからだ」。プラネットとはこの場合、地球のこと。地球が人類にとってかけがえのない惑星である以上、環境を守るための策を、不退転の決意で進めなければならないと訴えたのだ▼この警句をトランプ氏は今、どう受け止めているだろうか。地球温暖化が進めば、今世紀末には非常に強い熱帯低気圧が生まれやすくなる。そんな予測を早々に裏付けるかのように、強力なハリケーンが米国を次々と襲っている▼「カテゴリー4」のハービーの傷も生々しいのに、今度は「カテゴリー5」のイルマ。「観測史上、カテゴリー4以上のハリケーンが相次いで米国に襲来するのは、初めてだ」との専門家の指摘が不気味に響く▼トランプ政権の幹部らはごく単純な事実さえも曲げて公表し、追及されると、「“もう一つの事実”を示したのだ」と強弁してきた。彼らはそのうち、プラネットB、つまり“もう一つの地球”があるとでも言いだすのだろうか。