静岡大学の狩野芳伸准教授らは、広告のコピーを考える人工知能(AI)をつくった。数千ものコピーやことわざを学習したAIは、瞬時に膨大な数のコピーを作り出す▼このAIに「選挙」「投票」といったお題を与えたら、こんなコピーが生まれたという。<この国には、投票が足りない><国民を休んでませんか><親の意見と選挙は後で効く>。実に的を射たコピーではないか▼この国の選挙は、なるほど低調だ。前回は過去最低の52・6%。まことに<この国には、投票が足りない>と心配しているところに、台風の襲来だ▼米国には「共和党員は、雨を乞うべし」との言葉があるという。研究者が実際に過去半世紀の大統領選と天気の関係を調べたら、投票日の雨量が平年より二十五ミリ多いと投票率が1%弱落ち込み、共和党候補の得票率が2・5%上がると分かった▼ブッシュ対ゴアの激戦となった二〇〇〇年の選挙で勝敗を決したフロリダ州での票差はわずか五百余。投票日に局地的に降った雨が大統領選で決定的役割を果たしたようだと研究者は指摘しているが、さて台風は、この国にどんな風を吹かせるか▼静岡大のAIに「台風、投票」などの題でコピーを作ってもらったらこんな作品ができた。<人、動く。投票、変わる><走りが変わる。台風後が変わる>。どう変えるか、決めるのが、明日の一票だ。