これは、米国の政治小噺(こばなし)…。初めての子を授かったばかりの男性が、みんな顔を真っ赤にして泣いている新生児室を見つつ漏らした。「なんで、みんなあんなに泣いているのかな?」▼それを聞いていた医師が、ひと言。「生まれてまだ間もなく、将来も分からず仕事もなく、それなのに政府の赤字が一人当たり数千ドルもあったら、あなたも泣きたくなるでしょう」▼赤ん坊がそんな理由で泣くとしたら、この国の赤ちゃんは、どうなるか。わが国の借金は千八十兆円余で、国民一人当たり実に八百五十万円余である▼少子高齢化で若者世代の負担は重く、さらに教育費の負担もずしんと重い。非正規雇用が多く、賃金は伸びない。そう聞かされたら、赤ちゃんは青くなって黙り込むかもしれない▼きのうの所信表明演説で首相は「少子高齢化の克服に向けて力強く踏み出す時」と語り、幼児教育の無償化などを打ち出したが、財源はどうするか。借金まみれなのに、米政府の言うまま巨額の兵器を次々買い、兆の税金を注ぎ込んでもまともに動かぬ核燃料サイクル事業を続けて財政再建はできるのか▼これも、米国の政治小噺…。小学生が、国の財政について作文を書いた。<未来の人たちが、ここにいないのは残念です。僕らが、彼らのお金で、いろいろ好きなことをいっぱいやっているのを、見せてあげたいと思うからです>