首都圏を襲った四年ぶりの大雪にお疲れの方もいるだろう。遅れ気味の通勤電車は超満員。慣れぬ雪道をそろりそろりと歩くだけでもひと苦労である。ご近所の目を気にして、雪かきに手を出すも、数分で背中が痛い▼といいつつも都会に住む人はめったに積もらぬ雪にちょっとばかり心が躍るようなところもあるのだろう。近所の鮮魚店のご主人は「ひどいめにあいましたな」などといいつつ、その顔がほころんでいたりする▼けがをされた方がいる。豪雪地帯では雪に悩まされ続けている。そう考えれば、あまりのんきなことも書けぬが、雪の降った夜、車もめっきりと減り、針一本落としてもその音が聞こえてきそうな、しんと静まり返った白い町にちょっと感じ入ったりするものだ▼そんな気分も一瞬にして消し飛んでしまう自然災害の発生である、群馬県と長野県の境にある草津白根山が噴火した▼噴石によってスキー場で訓練中の自衛隊員が亡くなっている。東京の雪とは比べることができぬ、荒ぶる自然の脅威である▼年があらたまってわずか三週間余。今年こそは大きな自然災害のない良き年にと、日記の白いページに願ってみてもそれが難しい、全世界の活火山の約七%が集中するわが国の過酷な宿命か。いつ、どこでの心配は尽きぬ。ならば監視と警戒を強めるしかない。降ってくるのは風情ある雪ではない。