ミッキーマウスなどの生みの親であるウォルト・ディズニーは休日が嫌いだったそうだ。休日によって仕事のペースが狂わされるのをおそれ、週末が来るたびに「いやになる」とため息をついたという▼休日の観光客でにぎわうディズニーランドをお考えになった人とは思えぬ逸話だが、理由がある。若いとき、占い師に見てもらったところ、三十五歳で死ぬであろうと言われてしまった。占いは大はずれだったが、ディズニーはそれ以降も自分には残された時間が少なく、休んでいられないと思い込んでいたようである▼ディズニーほどの「休み嫌い」は珍しいだろうが、十連休の新しいカレンダーにとまどう方もいるかもしれない。安倍首相は新天皇即位の二〇一九年五月一日を祝日とし、これによって来年の黄金週間の連休を十連休としたい意向を表明した▼十連休は祝日法制定の一九四八年以降で過去最長と聞く。ありがたいと思う一方で長期の休みを後ろめたく感じる傾向が残る日本人のこと。異例の十連休を心置きなく楽しみ、活用できるか、少々心配なところもある▼時代を見送る連休でもある。過ごし方の一つとして悪くないのはやはり故郷で思い出話を語り合うことか。昭和、平成を生きてきた人たちがそこでお待ちだろうて▼十連休が終わった翌日の五月七日のことを考えると、早くも気が重くなるのだけれど。