シロツメクサは江戸時代にオランダから入ってきた帰化植物だ。「ぎやまん」と呼ばれた貴重なガラス製品を傷つけないために詰めたそうだ▼名前もそこからついた文字通りの詰め物であったが、現代では英名の「クローバー」として、「幸福」の印象がまさっていよう。四つ葉を探したひとときを思い出す方もいるだろう。単なる詰め物から幸福の象徴へ、そのイメージは大きく変わっている▼同じ十九世紀には、輸出する工芸品の包み紙だった浮世絵が欧州の絵画に影響を与えている。大切なものは時に、目立たない場所で発見を待っているのかもしれない。昨日のプロ野球ドラフト会議はどうだっただろう▼豊作と言われた中で、四球団競合の根尾昂選手は、中日がくじを引き当てた。ぎやまんならぬ球界の宝は、早くもやる気をみなぎらせていた▼本当の幸運は、どこにあるかは、すぐには見えない。今年は上位にまぶしい選手が多いが、下位ですきまを埋めているように見える選手の物語も始まる。明日開幕する日本シリーズをみてみると、ソフトバンクの主力、千賀投手がいる。通常のドラフトの枠外だった。広島の抑えの柱中崎投手は六位指名でキャリアを始めている▼<踏みにじるぼくを射返せクローバー>山岸竜治。『草木花歳時記 春』に、見つけた。雑草を思わせるたくましさにも、楽しみの種をみつけたい。