「赤とんぼ群れ出(い)ずるは地震の兆し」「ヘビ、藪(やぶ)に集まるときは地震あり」。そんなことわざが全国にある。動物たちに比べれば、人は残念ながら、迫り来る災害などを直感する力に乏しい。だから目を凝らしてきた▼消防庁ホームページに、同種の言い伝えが多数集められていて興味深い。福井県の「大雪の年はクマが里に出てくる」、宮崎県の「モグラが騒ぐと台風が来る」、富山県などの「カメムシが大量発生した年は大雪」などである。獣や虫が、総出で警告しているようにも思えてくる▼では、人の生活圏に現れた多数のホッキョクグマは何を語っていよう。ロシア北部、北極海に浮かぶ島の集落に、五十頭以上が現れる異例の事態が報じられた。えさを求めて民家に来ることもあり、地元当局が緊急事態を宣言したという▼理由は定かでないが、海氷が減っているため、陸に来たのだという指摘が、専門家から上がっている。地球温暖化の進行である。炭坑のカナリアのように、人に先だって影響を受けているのだと、警告としてとらえる声もある▼一方で最近、自国が大寒波に見舞われているからと地球温暖化に関し「君が必要だ」と、ツイッターに投稿したのは、温暖化を疑うトランプ米大統領だ▼非常事態の宣言を発表したが、国境の壁を建設するためである。動物からの警告に目を凝らすように思えない人もいる。
埼玉県
埼玉県
夏至の朝霧がまくと大水がある(熊谷 市佐谷田)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 10
埼玉県
埼玉県
蟻が木に登るのは大洪水の前兆(川越 市)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 11
埼玉県
埼玉県
鳶が高い所に巣を作るのは大水の兆し (羽生市須影)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 12
埼玉県
埼玉県
蛇の木登りは大水の兆し(吉見町南吉 見)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
8防災に関わる「言い伝え」
事例No
都道府 県名
市町村名
言い伝えの内容
趣旨・ポイント
出典(添付資料)
110001- 13
埼玉県
埼玉県
堤防の上の方に蜂の巣の多いときは洪 水(吉見町南吉見)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 14
埼玉県
埼玉県
蜂が梢に巣を作るのは洪水の兆し(川 越市)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 15
埼玉県
埼玉県
川蝉の子が育つまでは水がでない(熊 谷市久下)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 16
埼玉県
埼玉県
河原の蜂が巣を低く作るときは水は出 ない(熊谷市久下)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 17
埼玉県
埼玉県
蜻蛉が家の中へ入ると大水がでる(熊 谷市佐谷田)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 18
埼玉県
埼玉県
中仙道を蛾が多く西へ飛んで行くのは 大水の兆し(熊谷市佐谷田)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 19
埼玉県
埼玉県
川柳の直立するときは洪水が出る(深 谷)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 2
埼玉県
埼玉県
上げ雨が降ると大水になる(熊谷市久 下)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 20
埼玉県
埼玉県
大水の出た夢を見ると火事が起こる。 (荒川村)
埼玉県:荒川 人文 III p486(19 88)
110001- 21
埼玉県
埼玉県
朝、雷があると大水が出る。(熊谷 市)
埼玉県:荒川 人文 III p487(19 88)
110001- 22
埼玉県
埼玉県
熊谷市久下神社のおみこしをお祭りに かついだ年には、必ず土手が切れ大水 が出ると言われている。(熊谷市)
埼玉県:荒川 人文 III p487(19 88)
110001- 23
埼玉県
埼玉県
3のつく年は大洪水があるという。 (吉見町)
大規模な水害の起きた年 (元号)の約半数に3がつ く。統計的にいわれたこと か(?)
埼玉県:荒川 人文 III p488(19 88)
110001- 24
埼玉県
埼玉県
少しの雨でも荒川が洪水になるので、 昔から蛙がおしっこをしても荒川があ ふれるといわれた。(鴻巣市)
埼玉県:荒川 人文 III p488(19 88)
110001- 25
埼玉県
埼玉県
南風が吹くと台風や大洪水(八潮市、 戸田市)
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p68 7(1986)
110001- 26
埼玉県
埼玉県
蛙が家の近くに来たり、家の中に飛び 込んだりすると大水や台風になる。
一般的な言い伝え
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p68 8(1986)
110001- 27
埼玉県
埼玉県
亀が上にあがると大水が出る。(戸田 市)
31 111-1とデータ重複。 但、典拠はこちらの方が詳 しい。
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p68 8(1986)
110001- 28
埼玉県
埼玉県
なまずが地下を動き回ると地震が起こ る。
一般的な言い伝え
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p68 8(1986)
110001- 29
埼玉県
埼玉県
例年に比べて蜂の巣が多い年は台風が 多く、巣の少ない年は大水が出る。
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p68 9(1986)
110001- 3
埼玉県
埼玉県
朝雷は大水のもと(羽生市須影・熊谷 市久下・熊谷市佐谷田・川越市)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
9
防災に関わる「言い伝え」
事例No
都道府 県名
市町村名
言い伝えの内容
趣旨・ポイント
出典(添付資料)
110001- 30
埼玉県
埼玉県
アリが何万というほど群がり集まって いると大水が出る。(岡部町)
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p68 9(1986)
110001- 31
埼玉県
埼玉県
梨の花が多いのは大水の兆し。(志木 市)
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p68 9(1986)
110001- 32
埼玉県
埼玉県
川柳が直立するときは大水の兆し。 (志木市)
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p68 9(1986)
110001- 33
埼玉県
埼玉県
彗星は凶事の前兆。大水がでるなど。 (戸田市)
一般的に変事・凶事の兆し とされる。
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p69 0(1986)
110001- 34
埼玉県
埼玉県
犬の遠吠えは火事の兆し。(戸田市、 八潮市)
一般的に変事・凶事の兆し とされる。
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p69 0(1986)
110001- 35
埼玉県
埼玉県
家からねずみがいなくなると火事にな る。
一般的な言い伝え
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p69 1(1986)
110001- 36
埼玉県
埼玉県
ねずみが神棚の注連縄をかじると火事 になる。(大滝村)
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p69 1(1986)
110001- 37
埼玉県
埼玉県
井戸の水が増えると変事(地震など) が起こる。(戸田市)
埼玉県:新編埼玉県 史 民俗2 p69 2(1986)
110001- 4
埼玉県
埼玉県
寒雷様は大水のもと(川越市)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 5
埼玉県
埼玉県
荒川またぎの虹は大水のもと(吉見町 南吉見・熊谷市久下・川越市)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 6
埼玉県
埼玉県
水吸(株虹)の出現は大水のもと(吉 見町南吉見・川越市)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 7
埼玉県
埼玉県
朝虹が出ると大水がある(熊谷市久 下)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 8
埼玉県
埼玉県
虹が富士をまたぐと大水がある(騎西 町種足・久喜市・川越市)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
110001- 9
埼玉県
埼玉県
大橋をまたいで虹が出ると大水の兆し (熊谷市佐谷田)
熊谷地方気象台:埼 玉県下の天気俚諺 (1987)
111007- 1
埼玉県
さいたま市
蜂が低いところに巣を作るときは、大 風の前兆といわれている。
台風などの風害を避ける教 訓
『ふるさとさいたま の知恵』(埼玉県老 人大学ふるさとさい たまの知恵編集委員 会/編 埼玉県県政 情報資料室発行) 159p気象に関する知 恵の項で紹介
111007- 2
埼玉県
さいたま市
旱魃に凶作なし
埼玉では昔から、旱魃より も水害が恐れられてきたこ とから生まれた言葉
『図説浦和のあゆ み』(浦和市総務部 行政資料室/編 浦 和市発行)228p
111-1
埼玉県
亀が上にあがると大水が出る。
新編埼玉県史(昭和 61)
111-2
埼玉県
からすが巣を高い所に作ると大雨、低 い所に作ると大風。
新編埼玉県史(昭和 61)
10
防災に関わる「言い伝え」
事例No
都道府 県名
市町村名
言い伝えの内容
趣旨・ポイント
出典(添付資料)
111-3
埼玉県
秩父方面では、冬に山鳥がしきりに餌 をあさっていると、大雪になる。
新編埼玉県史(昭和 61)
111-4
埼玉県
蜂が低いところに巣を作ると風、高い 所に作ると雨が多い。又、例年に比べ て、巣が多い年は台風が多い、巣の少 ない年は大水、軒の下に作ると日照 り、日陰に作ると台風になる。
新編埼玉県史(昭和 61)
111-5
埼玉県
梨の花が多いのは大水の兆し。
新編埼玉県史(昭和 61)
113263- 1
埼玉県
毛呂山町
雷が鳴ったら、「自分より高い火の見 櫓やけやの木に行ってはいかない」
雷は高いものに落ちやす い。
毛呂山町『毛呂山民 俗誌Vol.1』(平成2 年)p28 毛呂山町 立図書館蔵(添付資 料2-1)
113263- 2
埼玉県
毛呂山町
雷が鳴ったら、「豆まきの豆を食え」
「鬼は外」で追い出された 鬼と、雲の上の雷様と結び つけ、豆を人が食べれば雷 様も怖くなって雷をやめる だろうということ。
毛呂山町『毛呂山民 俗誌Vol.1』(平成2 年)p28 毛呂山町 立図書館蔵(添付資 料2-1)
113263- 3
埼玉県
毛呂山町
雷が鳴った時、「へそをとられるよ。 おりこうさんにしなさい」
子どもに言うことを聞いて もらうため。
毛呂山町『毛呂山民 俗誌Vol.1』(平成2 年)p27 毛呂山町 立図書館蔵(添付資 料2-1)
113263- 4
埼玉県
毛呂山町
雷が鳴った時、「桑原 桑原」と唱え る。
雷が桑原に落ちて桑株に刺 さりケガをして以来桑原へ は落ちないという説 (p27)、桑原は本数が多く て被害が少ないという説 (p27)、桑は霊木で鬼や魔 物が寄りつかないという説 (p28)など。
毛呂山町『毛呂山民 俗誌Vol.1』(平成2 年)p27、p28 毛呂 山町立図書館蔵(添 付資料2-1)
113263- 5
埼玉県
毛呂山町
雷の時は、蚊帳に入り、線香を立て る。(p27、p28、p117、p118)
麻の蚊帳が良いとされ、線 香は床の間に立てた。 (p118)
毛呂山町『毛呂山民 俗誌Vol.1』(平成2 年)p27、p28、 p117、p118 毛呂山 町立図書館蔵(添付 資料2-1)
113263- 6
埼玉県
毛呂山町
地震のときは「竹やぶに入れ」
竹林は根が強いため、地盤 が安定。
毛呂山町『毛呂山民 俗誌Vol.1』(平成2 年)p28 毛呂山町 立図書館蔵(添付資 料2-1)
113263- 7
埼玉県
毛呂山町
地震のときは「まんぜえろく」と唱え る。
詳細不明。一説では、「ま んぜえ」=「万歳(ばんざ い)」、「ろく」=「禄」 (「俸禄」の「禄」。「報 酬」「恩恵」の意)。従っ て「まんぜえろく」は、末 永く神の恩恵を受けられま すように、という祈願か? (同出典外)
毛呂山町『毛呂山民 俗誌Vol.1』(平成2 年)p28、p117 毛 呂山町立図書館蔵 (添付資料2-1)
113263- 8
埼玉県
毛呂山町
立春から数えて二百十日目を厄日と し、その前日あたりから「オヒマチ」 と呼ばれる嵐よけの祈願の儀式を行う 習慣があった。
立春から数えて二百十日目 は9月初旬で、台風の季節で あるため、近所の人が注意 を喚起し合い、地域で協力 して警戒態勢をとる。
毛呂山町『毛呂山民 俗誌Vol.1』(平成2 年)p46 毛呂山町 立図書館蔵(添付資 料2-1)
114421- 1
埼玉県
宮代町
地震の時は、竹やぶに逃げろ。
竹藪は根が張っているので 安全。