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 新渡戸稲造は『武士道』でこう述べている。<戦闘におけるフェア・プレイ。この野蛮さと…原始的な感覚のうちに、なんと豊かな倫理の萌芽(ほうが)があることだろうか>▼野蛮な世界から生まれるから<フェア・プレイ>は尊い。そんな […]

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街を歩いている男性の携帯に友だちから着信があった。近くにはいないはずなのに、現在地を言い当てられた。手の中に小銭があること、さらにその額、車をどこに止めたかまでも▼手品じみた出来事のタネは、警察が管理している街頭の監視カ […]

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交番を襲う。拳銃を奪う。奪った拳銃で銀行に押し入る。もちろん許せぬが理解はできる。拳銃を奪う。奪った拳銃で恨みのある人物を殺害する。これも理解はできる。どちらも犯罪だが、拳銃を奪う目的がある▼警官を刺殺し、拳銃を奪う。小 […]

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  アメリカン・ニューシネマを代表する映画「イージー・ライダー」の日本公開は一九七〇年だから、思い入れのある世代といえば、七十歳前後になっているか▼日本でも大ヒットし、あの頃の若者の下宿部屋にはハーレー・ダビッドソンにま […]

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 古道具屋の亭主が汚い太鼓を仕入れてくる。おかみさんはそんなものが売れるはずがないと叱る。「どうしておまえさんはものが分からないのかねえ」。ところがさる大名に三百両で売れる。落語「火焔太鼓(かえんだいこ)」の一場面。お金 […]

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 米大リーグの長い歴史の中には信じられない退場劇がある。一九八六年六月、サンディエゴ・パドレスのスティーブ・ボロス監督は試合開始前に退場させられた▼きっかけは前日の試合でパドレスの三塁走者が本塁ベースに触れているのに審判 […]

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 動物の言葉を自由に話せるドリトル先生の物語には幅広い世代のファンがいるだろう。覚えていらっしゃるか。先生に動物語の手ほどきをしたのは、オウムのポリネシアである▼「カカオイイー、フィーフィー」。意味を尋ねる先生に「おかゆ […]

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 記憶は古いほうから順に消えていくわけではもちろんない。年を重ねて、子どもの頃に負った心の古傷が突然開くことがある。戦争の傷ならば、それは強く痛むだろう▼八十八歳の内原つる子さんは五十代で、足が燃えるように痛んだ。沖縄戦 […]

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草木のない山や魚のいない水のようなものか。欠ければ精彩も消え、全体が別物に思えるものがある。一九四九年、法隆寺が火事に見舞われた際、焼損した金堂の壁画を東京で保存するという国の方針が聞こえてきた▼「持っていかれると法隆寺 […]

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ロシアはことわざの宝庫だという。森林の国らしく、森のくらしや動物に関することわざ、表現が特に豊かだ。「ヒツジがオオカミを食べることもある」「湿った薪も燃え上がる」。見た目を裏切る強さを示す言葉を『ロシア語名言・名句・こと […]

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