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幼いとき、お世話になった人はどれぐらいだろう。今も読み継がれる中川李枝子さんの童話「いやいやえん」(絵・大村百合子さん、福音館)。「ちゅーりっぷほいくえん」の一室に立派な船が現れる場面がある。子どもたちが積み木を囲むよう […]

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その都市では「犯罪予防局」なる組織のおかげで大きな犯罪は一件も起きないのだそうだ。どうやって犯罪を防ぐのか。三人の予知能力者の力を借り、犯罪が起きることを事前に把握し、犯行前に「犯罪者候補」を逮捕してしまうのである▼現実 […]

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町中の人たちが急に何かにとりつかれたように雪人間をこしらえるのに夢中になる。幻想的な作風で知られる米作家のスティーブン・ミルハウザーの短編小説「雪人間」(『イン・ザ・ペニー・アーケード』収録)はそんな不思議な話である▼最 […]

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古典落語「水屋の富」は水屋商売の男が富くじを当て、金の隠し場所に困る話で水屋の心配ぶりがおかしくも悲しい▼長屋で独り暮らし。さてどこに隠すか。押し入れはどうだろう。すぐ見つかるか。では押し入れの中の古い葛籠(つづら)に入 […]

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 苔(こけ)は、なぜ生まれたのか。それは、<地球がみどりの着物をとても着たがっていたから>と書いたのは、一九九五年に八十九歳で逝った詩人・永瀬清子さんだ▼詩人は、よほど目を凝らして苔を見つめていたのだろう。「苔について」 […]

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会合や食事の会などの誘いに対する「行けたら行く」。幹事役を務める人にとっては、なかなかやっかいな返事で、出席するのかしないのかよく分からない▼関西ではかなりの確率で「行かない」と同じ意味と聞き、驚いたことがあるが、地域や […]

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首都圏を襲った四年ぶりの大雪にお疲れの方もいるだろう。遅れ気味の通勤電車は超満員。慣れぬ雪道をそろりそろりと歩くだけでもひと苦労である。ご近所の目を気にして、雪かきに手を出すも、数分で背中が痛い▼といいつつも都会に住む人 […]

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「八百屋」とか「大江戸八百八町」「浪花八百八橋」。これらの場合の「八百」とは実数ではなく、それほどたくさんのという意味である▼八百種類の商品をそろえてなくても八百屋。江戸時代当時、大阪に実際にあった橋の数は八百を大きく下 […]

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浅田次郎さんの最新刊「おもかげ」を読んでいたら地下鉄の車内で意識を失った男性を乗り合わせた人たちが介抱する場面が出てきた▼そんなことが実際にあるだろうか。電車内といえば、見たいものより見たくないものの方が目に飛び込んでく […]

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当時、その映画俳優に割り当てられた役名を見ると「百姓の小倅(こせがれ)」とある。名前さえない役なのだが、リハーサルでは、監督からのOKの声がなかなか掛からない▼何十回ものやり直し。自分だけが苦労するのならまだ、たえられる […]

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