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『Wの悲劇』などの作家、夏樹静子さんは書店に入るのが苦手だったそうだ。理由がある。書店にずらりと並ぶ新刊本の数々。あれを見ると、あの本も読みたい、この本も読まなければと、心が落ち着かなくなるのだという▼夏樹さんの焦りがよ […]

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 明治期のある「新聞」の一本の論説記事を一字一句暗記している。と書けば、読者は尊敬の念を抱き、小欄の株も少しぐらいは上がるか。残念ながらトリックがある▼明治のジャーナリスト宮武外骨の「滑稽新聞」。一九〇五(明治三十八)年 […]

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日本で最も古い校歌とされるのは東京女子師範学校(現お茶の水女子大学)のもので一八七八(明治十一)年にできたそうだ。これが第一号とすれば日本の校歌の歴史は百四十年である▼渡辺裕さんの『歌う国民』(中公新書)によると小学校を […]

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「トランプ・スランプ」と、いわれているらしい。米国の銃器メーカーの売り上げが、ここ一年で軒並み激減しているというのだ▼米の銃器業界にとって銃規制の強化を図ったオバマ大統領の時代は、実は黄金時代だったという。乱射事件が発生 […]

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一九九七年に公開された米映画『ウワサの真相』は、政治風刺コメディーだ。原題は『ワグ・ザ・ドッグ』。「しっぽが犬を振る」という英語の言い回しを使ったタイトルだ▼再選を目指す米大統領に、性的スキャンダルが発覚する。投票日は目 […]

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座禅ではなく、立ったままの「立禅」がその人の日課だったそうだ。ただ立っていては雑念でいっぱいになる。心を集中させるため、亡くなった友人、知人の名をあげていく。百数十人。約三十分。「死んだ人たちといっしょにいる気持ちになる […]

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映画などの巨大怪獣が好んで破壊するものや場所といえば、ビル、橋、鉄道、高速道路などが浮かぶが、「シン・ゴジラ」などの映画監督、樋口真嗣さんによると、電柱も欠かせないようだ。なぎ倒される電柱。切断され、宙を舞う電線。なるほ […]

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一八九八年の米西戦争の期間中、米海軍の死亡率は千人につき九人だったそうだ。一方で、同じ期間のニューヨーク市内における死亡率は千人につき十六人。米海軍はこの数字を使って、海軍に入った方が安全だと宣伝していたそうである▼数字 […]

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 願いごとがあって、願をかけて三年間酒を断つことにした。しかし、やっぱりつらい。それで、その期間を六年間に延ばして、夜だけは飲んでもかまわないことにした。古い小噺(こばなし)である▼続きがある。夜だけにしてみたが、やっぱ […]

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 <無事之(これ)名馬>。作家で競馬を愛した菊池寛が世に広めたと聞く。けがをしない丈夫な馬こそが名馬。馬主でもあった菊池としては自分の馬が心配でとにかく無事でいてほしいという願いもあったようである▼<無事之名馬>には当て […]

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