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 一九七〇、八〇年代に活躍した米大リーグ抑え投手の草分け的存在である、ローリー・フィンガーズがこんなことを語っている。「救援投手にとっていやなことは失敗すれば、先発投手の勝利を台無しにしてしまうことだ」。コールマン髭(ひ […]

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  大正のころだろう。国文学者の折口信夫は山中できこりに道を聞く。返ってきた言葉に驚いた。「苗圃(びょうほ)を迂回(うかい)して行きゃ…製板(せいはん)(製板小屋)が見えるがのし」。漢字をつなぎ合わせただけの造語、漢語そ […]

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「とても美しい」。日本語として表現上の不自然を感じる方は少ないだろう。作家円地文子は違った。<文章の中で「とても」を肯定に遣(つか)う気にはならない>(『おやじ・上田万年(かずとし)』)▼「とても」は主に「~ない」などと […]

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新潮社の斎藤十一はその発想力で天才と呼ばれ、こわもてで畏怖された伝説的な編集者だ。名だたる作家を育て週刊新潮や芸術新潮などの雑誌をつくり時代を築いた。俗物を名乗り「人殺しのツラが見たくないのか」「人生はカネと女と事件」「 […]

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 力士の取組が長引いた場合、相撲をいったん止める、「水入り」のタイミングは行司にとってなかなか難しいそうで、ただ長引いたからという理由で判断するものではない。三十六代の木村庄之助さんが書いている▼相撲には流れがあって、膠 […]

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 作家、演出家の久世光彦(くぜてるひこ)さんが「町の音」というエッセーの中で好きな町の音を一つだけあげろと言われたら「私は躊躇(ちゅうちょ)なく、この音と答える」と書いている。「夕食の支度をする音」だそうだ▼水を使う音、 […]

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 教室の中で何かがなくなったとする。誰かが取ったにちがいない。先生が命じる。よし、みんな目をつぶれ。心当たりのある者は手を挙げなさい▼書いていてあまりいい気分がしないが、子どもの時、こういう居心地の悪い場面に出くわしたこ […]

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<猪牙(ちょき)で行くのは深川通い>-。江戸文政期に流行した端唄の「深川」。三下がりのオツな三味線が聞こえる。猪牙とは猪牙舟を詰めた言い方で屋根なしの小型舟のことである▼神田川の柳橋あたりから吉原遊郭へ向かう猪牙舟が出て […]

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みんなで防犯
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 将棋の羽生善治さんが「棋は対話なり」について分かりやすく説明している。駒を動かしながら心の中で相手とこんな会話をしているという▼「ここまで取らせてください」「わかりました。そこまではいいでしょう」「じゃあ、これもいいで […]

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 敗戦が迫っていたころ、ちまたに多くの流言、デマが乱れ飛んでいたという。「北アルプスに建設中の地下要塞で敵を迎え撃ち、撃滅する」「強力なロケット弾が完成すれば、ニューヨークも火の海になる」「最強の関東軍が無傷だ。本土決戦 […]

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