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今日の筆洗 7/15

小学校や中学校の教室に鉛筆削り器が置かれるようになったのは一九六〇年のある事件がきっかけらしい。当時社会党委員長の浅沼稲次郎刺殺事件。犯人は十七歳の少年だった▼少年の刃物による事件という衝撃から刃物追放運動が起こる。鉛筆 […]

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 ノーベル文学賞を過去に辞退したのは『ドクトル・ジバゴ』などの旧ソ連の作家、ボリス・パステルナークとフランスの哲学者サルトルの二人だが、パステルナークは旧ソ連に返上を迫られ、やむなく辞退した経緯もあり、実質的にはサルトル […]

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かのヒトラーがノーベル平和賞の候補になったことがあると聞けば驚く人もいるだろう。ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発する直前の一九三九年のことだそうだ▼推薦したのはスウェーデン国会議員のエリック・ブラント。推 […]

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 「赤とんぼ群れ出(い)ずるは地震の兆し」「ヘビ、藪(やぶ)に集まるときは地震あり」。そんなことわざが全国にある。動物たちに比べれば、人は残念ながら、迫り来る災害などを直感する力に乏しい。だから目を凝らしてきた▼消防庁ホ […]

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 漱石の『坊っちゃん』の中に生徒が先生にいたずらを仕掛ける場面がある。宿直室の布団の中に大量のバッタ(実際はイナゴ)を入れておく▼漱石が松山中時代、実際に見聞きしたいたずらという。当時はしかられておしまいだっただろうが、 […]

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<梅の木にふりかゝりたるその雪をはらひてやれば喜びのみゆ>。中原中也の初期の短歌で「春をまちつゝ」という題が付いている▼同じ中也で雪といえば「生ひ立ちの歌」の雪を連想する。(幼年時)「私の上に降る雪は真綿のやうでありまし […]

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 がっぷりと組み合って、動かなくなった二人の力士には、一見、平和が訪れているかのように見える。実際は、力が辛うじてつり合っているにすぎない。夏目漱石は、これを「互殺の平和」と呼んでいる▼<現状を維持するに、彼等(かれら) […]

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 腕利きの営業担当者が書いた「指南書」を読んでいたら、セールスの技術としてなるほどと思うものがあった。売ろうとする製品の悪い面にも言及することだそうだ▼売るために製品の良い面ばかりを強調したくなるのが普通である。そこをあ […]

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 スーパーに鬼の面が置いてあった。きょうは節分である。鬼やらいの豆を買えば、一枚いただけるらしい。手に取ってみると、この鬼の面がまったく鬼に見えぬ。なるほど、顔は赤く角もあるのだが、怖くはない。それどころか、むしろ、かわ […]

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 タイタニック号には、沈没の一時間ほど前を含め一日に六回も氷山に関する警告が届いていたそうだ。高度の安全設計を誇っている船でもある(ダニエル・アレン・バトラー著『不沈 タイタニック』)。最近、豪華客船を世界に見立てた例え […]

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