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 多くの小中学校で夏休みの終わりが近づき、図書館がいつもの年のようににぎわっていた。およそ四十日間の自由の代償ともいえる宿題と最後まで格闘する子も多いはずだ▼作家安岡章太郎にも格闘の経験がある。小学生の時、夏休みの最終日 […]

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 世界には日本語に翻訳しにくい言葉がある。カリブ・スペイン語の「コティスエルト」。この一言で、日本語にすれば「シャツの裾を絶対ズボンの中に入れようとしない男の人」という意味になるそうだ。『翻訳できない世界のことば』(創元 […]

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 笑い声のない家で少年は育った。父親はたびたび家を飛び出し、母親は泣いてばかりいた。息苦しい生活のなか少年が見つけた数少ない楽しみはチャプリンの映画だった▼笑いを商売にする人間は必ずしも笑いの絶えぬ家庭で育つものとは限ら […]

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 <またしても女房が言ったのだ/ラジオもなければテレビもない/電気ストーブも電話もない/ミキサーもなければ電気冷蔵庫もない>。山之口貘の「ある家庭」。ある家庭といっても貘さんの家のことである▼高度成長期の一九六〇年代前半 […]

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 台本にある自分の役を見て、声を上げたという。<苗字(みょうじ)のある役だワ>。女優の菅井きんさんだ(著書『わき役 ふけ役 いびり役』)▼農家の娘トメの役で舞台にデビューして以来、苗字なしの役ばかりを演じてきた。だから、 […]

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 悪い行いはいつも邪悪な心のみによって引き起こされるとは限らない。オーストリア生まれで、二つの世界大戦に翻弄(ほんろう)された作家ツバイクは、なぜ第一次大戦が起きたかについて、参戦した国には<動機さえも見出しえない>とし […]

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 正直にいえば、このコラム、甲子園球場にプレーボールのかかる二時間前から書き出している▼禁じ手かもしれぬ。どちらが勝ったか。どんな結果になったか。それを見ずして野球は書けぬ。結果がすべて。おおげさなことをいえば、人の営み […]

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 ひところの猛暑もやや落ち着き、都会のセミの声にツクツクボウシがよくまじるようになってきた▼その名は鳴き声の聞きなしからきているが、『日本語オノマトペ辞典』によると、平安期は「クツクツボウシ」で室町期に現在の「ツクツク」 […]

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ジャズ歌手のサラ・ボーンがある日、やはり歌手のエタ・ジェイムスにこんなことをこぼしたそうだ。一九六〇年代前半のことだろう。「あの娘の『スカイラーク』(ジャズスタンダード曲の一つ)を聞いたかい。ああ、あたしはもう、あの歌を […]

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  誰が最初に「ABCの歌」を歌うかでマペット(人形)たちがもめている。「あたしが一番に」「あんたはこの間、歌ったでしょ」「わたしの歌はかわいいわ」。収まらない中、ある人物がやって来る。「何か問題でも」。マペットたちが一 […]

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