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 向かい合った二人の横顔なのか、一個のつぼなのか。簡単な図形が、異なる二つのものに見える。あの有名な図形は、心理学者の名から「ルビンのつぼ」などと呼ばれるそうだ。見るたびに、人の知覚の不思議を感じさせる図形だろう▼図形だ […]

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「センイチ」と聞いて、思い出すのは昔の野球選手の名前ぐらいだが、戦後、米軍キャンプを回るジャズ楽団員には欠かせぬものだったそうだ。当時の隠語でジャズの有名曲を集めた楽譜集のことをいう▼センイチとは千一で、たくさんの曲が載 […]

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年の瀬が近づくと聞きたくなる落語の「芝浜」。魚屋の熊さんはどうしてもお酒がやめられず、ついには仕事にも行かなくなる▼働いておくれよとせっつくおかみさんに「明日っから必ず仕事に行く。だから、きょうだけは思う存分、飲ませてく […]

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米フォーク・ロックのママス&パパスが一九六六年にヒットさせた曲、「夢のカリフォルニア」。題名だけを聞けば昔の海外旅行の宣伝文句みたいで、明るく健康的なイメージがわくが、歌の内容はかなり寂しい▼舞台はカリフォルニアではなく […]

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 <若き亜細亜(アジア)の黎明(しののめ)に命輝く新日本>。「日本万国博覧会行進曲」の歌い出しである。大阪万博の「世界の国からこんにちは」は知っているが、はて、そんな歌あったかと首をひねる人がほとんどだろう。一九四〇(昭 […]

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 一人の若者が土をこねているうちに、女の人形ができた。古代の大王は大いに気に入り、たくさんつくるよう人々に、命じる。それは「埴輪(はにわ)」と名付けられた。詩人の茨木のり子さんの創作である。ラジオドラマとして書いた作品『 […]

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 携帯電話のない時代の話である。作家の山口瞳さんが顔見知りだった出版社の女性社員が会社の外で公衆電話を使っているのを見かけた。後になって、母親が病気で日に何度も電話しなければならなかったと知る▼同じ会社の男性社員。いつも […]

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 路上で子どもがしくしく泣いている。通りがかった男が声を掛ける。「どうした、えっ、おとっつあんが病気なのにお金がなくて故郷に帰ることができないんだって…」▼気の毒な話に人が集まってくる。男が子どもの持つ大量のカミソリに気 […]

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 酔った藩士の刃傷事件を反省し、ある藩が禁酒を宣言した。門の前には番屋を置き、酒の出入りを固く見張る。古典落語の「禁酒番屋」である。五代目柳家小さんが酒を実にうまそうに口にする場面が懐かしい▼無論、禁を破る不届き者もでて […]

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 「進化論」のダーウィンは後悔の言葉を残しているという。<私の仲間たちの生き物に対して…よいことをしてやれなかった>。ウイリアム・デイビス編『ベスト・ワン事典』に教わった▼地中のミミズから赤道直下の鳥たち、さらに植物まで […]

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