ち)である▼この日に観音様をお参りすれば四万六千日分の参拝と同じありがたみがある。浅草観音ではほおずき市の縁日が立つ。「四万六千日、お暑い盛りでございます」。八代目桂文楽の「船徳」。江戸の夏がぱっと広がる名調子である▼夏の暑苦しさとはどういうものか。ある人が、江戸の狂歌師、蜀山人(しょくさんじん)(大田南畝(なんぽ))に尋ねたそうだ。寝惚(ねぼけ)先生、詠んでいわく、<西日射(さ)す九尺二間に太っちょの背なで児(こ)が泣く飯(まま)が焦げつく>-。確かに▼それでも蜀山人の暑さの程度ではもはや、さほどでもない現代の夏かもしれぬ。世界気象機関(WMO)によると五月以降、欧州、中東、米国などで熱波が続いているそうで先月二十九日にはイラン南西部アフワズで五三・七度を記録した▼<アフワズで鍋焼きうどん>。ふざけている場合ではなく、人体に危険なレベルの暑さが世界各地で観測されている。気候変動によって、夏が長く厳しくなっているとWMOは警告する▼さてG20サミット。気候変動を討議していた時間、肝心のトランプ米大統領は米ロ首脳会談を理由にそそくさと席を立ったそうだ。温暖化対策の「パリ協定」からの米国離脱を批判する声を聞きたくなかった。温暖化問題に背を向ける、大統領のふるまいにかっと体温が上昇し、やがて、ゾッとなる。