米国のスーパーのレジでもめた経験がある。問題は支払いの後で起きた。店員の質問が怪しいのだ。「プラスチック・オア・ペーパー?」(プラスチックなのか、紙なのか)▼クレジットカードをプラスチックと表現することも、あるのか。だとすれば、支払いはカードか紙幣かと尋ねているのだろう。うん? さっきカードで支払った。二重に払わせる新手の詐欺か。さもなくばアジア人への悪質な嫌がらせか。許せぬ。「プラスチック」で既に支払った旨をきっぱりと伝える▼店員はやれやれという顔でビニール製の袋と紙袋を並べる。荷物を詰めるのは「プラスチック(ビニール)の袋ですか、それとも紙の袋ですか」▼八つ当たり気味になるが、赤っ恥の背景と、廃プラスチックによる海洋汚染問題への日本の取り組みの遅れをこじつけられなくもなかろう。日本でレジ袋といえば、プラスチック製しか実質的にはなく土に返りやすい紙などの選択はほぼない▼そのレジ袋。環境省が使い捨てプラスチックの排出量の削減に向け、レジ袋の有料化を義務付ける方向を示した。やっとという感じがしないでもないが、これによってプラスチックのレジ袋をことわり、持参のバッグで持ち帰る習慣が根付けばよい▼有料化に納得できない人には、こう説得するのが効果的か。守るべきは、「プラスチックの袋か、それとも地球?」。