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沖縄には「艦砲の食い残し」という言葉がある。鉄の暴風と形容された沖縄戦の艦砲射撃で家も家族も食い尽くされた。その食い残しが、生き残った自分たち。言い尽くせぬ悲しみと虚(むな)しさが結晶となった言葉だ▼<♪うんじゅん 我( […]

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豪放磊落(ごうほうらいらく)な人柄で多くの人を魅了した囲碁棋士・藤沢秀行さんと、将棋棋士の芹沢博文さんが、こんな話をしたことがあったという。我々は囲碁や将棋をどれほど分かっているのか。神様が百としたら、どの程度か▼二人で […]

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「パーカッション・メンテナンス」。メンテナンスは修理とか修繕の意味なので、打楽器の修理かなにかかと考える人もいるだろうが、不正解。かつて日本の茶の間でもよく使っていた、「ある技」のことを指す▼その昔のテレビ受像機は古くな […]

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「負けることには、耐えられない。二位に興味はない」。米野球の「球聖」タイ・カッブの言葉という▼勝利にこだわる運動競技や勝負の世界では、二位は「惜しかった人」ではなく、どちらかといえば哀れな「敗北者」と考える傾向があるよう […]

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劇作家の別役実さんの『当世悪魔の辞典』を開けば、「目」は、こう定義されている。<自分自身であることが最も自然に感じられる器官。危険に遭遇して我々が目をつむるのは、そうすることによって我々自身をそこから消し去ることが出来る […]

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幕末の傑物・松平春嶽(しゅんがく)の実子にして、尾張徳川家の十九代目当主・徳川義親(よしちか)氏は、「虎狩りの殿様」と呼ばれた。マレー半島で野生の虎に襲われそうになりつつ、ひるまずに仕留めたという武勇伝のためだ▼そんな「 […]

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ヒョウと「ある動物」が喧嘩(けんか)になった。それを見ていた女の子が仲裁に入るが、ヒョウに食べられてしまう。嘆き悲しんだのは「ある動物」。黒い喪章を着けて女の子の冥福を祈ったが、どうしても涙が止まらない▼あふれる涙をぬぐ […]

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万歳三唱ほど時代から消えた風習はないかもしれない。かつては会社の送別会や、結婚式などでもバンザイ、バンザイとやっていたのだが、最近はとんとお目にかからない▼ぎりぎり万歳が生き残っている場所はおそらく政界だろう。衆院解散と […]

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兄や姉からの「お古」「お下がり」。今聞けばどこか懐かしい気持ちになるが、それをあてがわれた当時の少年少女はやはり面白くなかったか。「ポーの一族」「トーマの心臓」などの漫画家の萩尾望都(もと)さん(68)が「お下がり」の思 […]

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一九四五年の夏、英国で大番狂わせが起きた。十年ぶりに行われた総選挙で、保守党がまさかの敗北を喫したのだ▼保守党を率いていたのは、第二次大戦で卓越した指導力を発揮した名宰相チャーチル。彼の名声をもってすれば、愛国心で高揚し […]

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