2017年7月8日
時代小説の名手・葉室麟(はむろりん)さんの『秋月記(あきづきき)』で、江戸から故郷・秋月に戻った主人公は思わず「秋月はよいなあ」と、嘆声を漏らす▼<秋月では目をあげればすぐに青々とした山が見える。何ものかの懐に抱かれてい […]
2017年7月7日
<子供達よ/これが核攻撃から/あなたを守る方法です/ベルの音で先を争って誰よりも早く/机の下にもぐり/ひざまずいた姿勢で床に顔をつけ…>。一九五〇年代、米国の小学校では核攻撃から身を守る訓練が真剣に行われていた。体を丸め […]
2017年7月6日
「東海道中膝栗毛」の十返舎一九の辞世は<此世(このよ)をばどりやおいとまに線香の煙とともに灰左様なら>。線香の灰とのシャレでハイ、サヨウナラ。さっぱりしたものである▼名将は最期になんとおっしゃったか。勝負にかけた熱とこだ […]
2017年7月3日
物語の展開に困った作家がこんな方法を思い付いた。丸い紙に物語上、起こりえる出来事をたくさん書き込んでおく。たとえば、「予期せぬ来訪者」「ヒロインの愛の告白」「身内の裏切り」…。それをルーレットのように回し、止まった内容に […]
2017年7月2日
【不良】…「質・状態がよくないこと。また、そのさま」。「品行・性質がよくないこと。また、その人」。字引は実にさっぱりとしたものである▼されど、その人は【不良】の中に字引では説明されぬ価値を見ていたのか。不良と呼ばれること […]
2017年7月1日
重く受け止めごっこ」が流行したら、どうなるだろうか。思想家の故・鶴見俊輔さんが十年ほど前、そんなことを話していた▼この国では不祥事の類いが起きると、大臣から官僚、経営者から教育者まで判で押したように「このことを重く受け止 […]