今日の東京新聞
今日の筆洗

韓国映画「国際市場で逢(あ)いましょう」(二〇一四年、ユン・ジェギュン監督)は本国では国民的映画だが、日本でも人気が高い▼理由は日本人の過去ともどこかで重なるせいかもしれぬ。朝鮮戦争中の一九五〇年。ある家族が戦火を逃れ、 […]

続きを読む
今日の東京新聞
今日の筆洗

「あの人今これなんだって、ラーヂーポンポン、七カ月」。意味がすんなりと分かる方は六十歳以上か▼ラーヂーとは英語のLARGE。ポンポンはおなか。すなわち、妊婦さんとか妊娠中という意味になる。最近ではめったに聞かぬ▼日本映画 […]

続きを読む
今日の東京新聞
今日の筆洗

​フランス語で最も長い単語は長らく、二十五文字を要するこの言葉とされてきた。anticonstitutio (アンティコンスティテュシオ)nne(ネ)ll(ル)eme n(マン)t。書き写すのもいやになるが、和訳すれば、 […]

続きを読む
今日の東京新聞
今日の筆洗

夏目漱石は自転車が苦手だった。一九〇二年、ロンドン留学中に勧められ、稽古したものの<大落五度小落はその数を知らず、或(ある)時は石垣にぶつかって向脛(むこうずね)を擦りむき(中略)その苦戦云(い)うばかりなし…>と「自転 […]

続きを読む
今日の東京新聞
今日の筆洗

<そらのみなとみずのみなとかぜのみなとゆめのみなとに種はこぼれる>は、やすたけまりさんの歌集『ミドリツキノワ』にある一首だ▼わが家の猫の額のような花壇で今、目を楽しませてくれている野の草は、マツバウンランにニワゼキショウ […]

続きを読む
今日の東京新聞
今日の筆洗

「空」という字は、小学校一年で習う八十の漢字の一つだ。「母」という字は、二年で習う百六十字のうちの一つ。どちらも、この世界を成り立たせているものを表す大切な字だ▼ちょっと、想像してみていただきたい。私たちが漢字を覚え始め […]

続きを読む
今日の東京新聞
今日の筆洗

宮城県東松島市の野蒜(のびる)小学校の体育館は、その時、洗濯機のようだったという。大きな揺れの後、体育館には児童や住民ら三百人ほどが避難していた。そこを津波が襲ったのだ▼ピアノも人も津波が生んだ渦にのまれた。三人の子とと […]

続きを読む
今日の東京新聞
今日の筆洗

<捨てる。/捨てない。/忘れる。/忘れない。/戻る。/戻れない。/帰りたい。/帰れない。/遠い。/近い。/どうする。/どうしようもない。/陽炎の/向こうに。/ゆれて見える。/わが故郷。>▼これは、福島県相馬市に住む根本昌 […]

続きを読む
今日の東京新聞
今日の筆洗

共生とは何か。動物生理学の研究者・本川達雄(もとかわたつお)さんは、近著『ウニはすごい バッタもすごい』(中公新書)で、こう定義している▼<異なる二種の生物が、同じ場所で互いに緊密な結びつきを保って生活していること>。共 […]

続きを読む
今日の東京新聞
今日の筆

その昔、寄席の楽屋に一枚の紙が張ってあったそうだ。題は「噺家(はなしか)売れる秘訣(ひけつ)五カ条」。一九六〇年代か。内容は、一、素人口調であること、一、内容は支離滅裂にすべきこと、一、ちゃんとした噺をやらぬこと-等▼若 […]

続きを読む