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 地中海マルタ島。一九八九年十二月、米国とソ連が冷戦終結を宣言したマルタ会談が行われたのは、東部の港バレッタに停泊したソ連の客船の中だった。日本では平成になった年で十一月にベルリンの壁が崩壊。世界が大きく動いた年だった▼ […]

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 どんな花も、咲くためには時を待たなければならない。女優の赤木春恵さんの場合、駆け出しのころから、自分こそは、遅咲きなのだとかたく信じていたという。<四十歳か五十歳になったときに、満開の花を咲かせれば>(著書『わたしの遅 […]

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 向かい合った二人の横顔なのか、一個のつぼなのか。簡単な図形が、異なる二つのものに見える。あの有名な図形は、心理学者の名から「ルビンのつぼ」などと呼ばれるそうだ。見るたびに、人の知覚の不思議を感じさせる図形だろう▼図形だ […]

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「センイチ」と聞いて、思い出すのは昔の野球選手の名前ぐらいだが、戦後、米軍キャンプを回るジャズ楽団員には欠かせぬものだったそうだ。当時の隠語でジャズの有名曲を集めた楽譜集のことをいう▼センイチとは千一で、たくさんの曲が載 […]

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年の瀬が近づくと聞きたくなる落語の「芝浜」。魚屋の熊さんはどうしてもお酒がやめられず、ついには仕事にも行かなくなる▼働いておくれよとせっつくおかみさんに「明日っから必ず仕事に行く。だから、きょうだけは思う存分、飲ませてく […]

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米フォーク・ロックのママス&パパスが一九六六年にヒットさせた曲、「夢のカリフォルニア」。題名だけを聞けば昔の海外旅行の宣伝文句みたいで、明るく健康的なイメージがわくが、歌の内容はかなり寂しい▼舞台はカリフォルニアではなく […]

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 <若き亜細亜(アジア)の黎明(しののめ)に命輝く新日本>。「日本万国博覧会行進曲」の歌い出しである。大阪万博の「世界の国からこんにちは」は知っているが、はて、そんな歌あったかと首をひねる人がほとんどだろう。一九四〇(昭 […]

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 一人の若者が土をこねているうちに、女の人形ができた。古代の大王は大いに気に入り、たくさんつくるよう人々に、命じる。それは「埴輪(はにわ)」と名付けられた。詩人の茨木のり子さんの創作である。ラジオドラマとして書いた作品『 […]

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 携帯電話のない時代の話である。作家の山口瞳さんが顔見知りだった出版社の女性社員が会社の外で公衆電話を使っているのを見かけた。後になって、母親が病気で日に何度も電話しなければならなかったと知る▼同じ会社の男性社員。いつも […]

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 路上で子どもがしくしく泣いている。通りがかった男が声を掛ける。「どうした、えっ、おとっつあんが病気なのにお金がなくて故郷に帰ることができないんだって…」▼気の毒な話に人が集まってくる。男が子どもの持つ大量のカミソリに気 […]

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