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大昔からぐらぐらと揺れてきた国土にあって、法隆寺の五重塔は千年以上、立派に立っている。地震で倒壊したという記録もない。法隆寺の宮大工棟梁(とうりょう)だった西岡常一さんはその秘密を「がっしりとした大木」のような設計にある […]

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 作家の安岡章太郎さんは旧制高校受験に三年失敗している。いわゆる三浪である。何年も浪人した経験のある人とない人では「顔つきまでちがうように思われる」と書いていらっしゃる▼「何年も浪人したことのある人はどこかに“落第生”の […]

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 落語の「真田小僧」に出てくる金ちゃんはずる賢い。こづかいをくれぬおとっつぁんにおっかさんの「秘密」を教えてやると持ちかけ、まず一銭、巻き上げる▼「おとっつぁんのいないときに白い服を着て色眼鏡をかけたキザな男が来た」「お […]

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 ミッキーマウスなどの生みの親であるウォルト・ディズニーは休日が嫌いだったそうだ。休日によって仕事のペースが狂わされるのをおそれ、週末が来るたびに「いやになる」とため息をついたという▼休日の観光客でにぎわうディズニーラン […]

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 随分空気が澄んだと、夜、空を見れば、火星の輝きが弱々しくなっている。大接近していた夏の間ずっと、燃えるようだった。あの赤い光の記憶は異様な暑さとともにある。列島は災害に見舞われ通しだった。被災地の空に輝くのを思い出す方 […]

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 ミステリーの女王、アガサ・クリスティは、まるで自分がミステリーの主人公になったかのような事件を起こしている。よく知られる十一日間の失踪事件だ▼乗っていた車が、田舎道に捨てられ、車内に身の回りの物もあった。そのころ夫には […]

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米国の心理学者が卒業アルバムを使い、変わった研究をしている。卒業アルバムの写真を何百枚と集めて、その笑顔を分析する。笑っているかどうか。それは満面の笑みか▼笑顔の度合いと写真の人物の結婚生活を検証してみたところ、あまり笑 […]

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 明治期の大関、朝汐太郎(初代)は若い時、しこ名を変えてはと親方から勧められた。「朝汐なんていう素人相撲にありそうな安っぽい名はやめろ」。朝汐は首を横に振ったそうだ。「自分が出世したら朝汐でも立派に聞こえましょう」▼金の […]

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 一九四五年十二月、フランス赤十字の一員としてポーランドのワルシャワに勤務していた女性医師マドレーヌ・ポーリアックさんは恐るべき事実を知る。カトリック教会の複数の修道女が旧ソ連軍によって集団で性的暴力を受け、妊娠させられ […]

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 あまり見かけない「俥」という漢字は「くるま」と読んで人力車を意味する。右側に車があり、人偏はそれを引く人だ。なかなかうまくできた漢字で、辞典には「日本製」ともある。車夫がかじ棒を握って街を走る姿も、想像できる字だろう▼ […]

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