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 オーストリア首都の「ウィーン」と大分県の湯布院を、寅さんがつい聞き間違え、ウィーンへ行くことになるのは「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」。あまり似ていない気もするが、そそっかしい寅さんならさもあらん▼寅さん、同じ映画の中 […]

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一九五〇年ごろ、アレクサンドル・ミカさんというパン職人がフランス南部サントロペでポーランドの祖母に教わったタルト菓子を売り出したそうだ▼五五年、映画のロケでその地を訪れた女優ブリジット・バルドーがこれを気に入り、「サント […]

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羊が川で水を飲んでいるのを見かけた狼(おおかみ)がもっともらしい理由をつけてその羊を食べてしまおうと考えた。「おい、おれの水をにごらせているぞ」▼羊は反論する。「私はほんの口先で飲んだだけです。それに飲んでいるのはあなた […]

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 ある日、財布を拾う。落とし主は新聞社の社長さん。その縁で、新聞社の「坊や」(小間使い)として使ってもらえるようになって、「こいつ、なかなか書ける」と重宝がられる。やがて社長令嬢と恋仲になって結婚。会社を引き継ぎ、全国一 […]

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 ちょっとしたスーパーにも、最近は各国の食べ物が並んでいて驚かされる。ワインやチーズなどで恩恵にあずかることも多いが、食のグローバル化をただ喜んでいるだけでいいのだろうか。フランス発の「カマンベール戦争」なるニュースを見 […]

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俳優の高倉健さんはウナギを食べるのが苦手だったそうだ。理由がある。小学生の時に肺の病気になり、一年間休学した。お母さんは病に伏せる高倉少年に毎日毎日、ウナギを食べさせたそうだ▼なんとか滋養をつけさせ、元気にしたい。そう願 […]

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 『うそくらべ見立評判記』は江戸時代のうその番付である。当時は料理屋、名酒からうその類いまで相撲の番付表に見立てたランキング形式の評定が流行したそうだ▼うそ番付最高位、東の大関は「女はきらいだといふ若い衆」。西の大関は「 […]

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ある藩の幹部が冷酷苛烈な政治を行った。領民を苦しめ、藩内の反対勢力には刃(やいば)を向けた。が、その職を降りたとき、男は自分を死罪にせよと求めた。山本周五郎の短編『晩秋』である▼男が専横な政治を行ったのは藩の基礎を急いで […]

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 玉突き、象、プラスチック。一見、何のつながりもなさそうな三語だが、この三語で語られる歴史的事実がある。ビリヤードの球はかつて象牙でこしらえていたが、それでは入手が難しい上、高くつく。一八六三年、米国のビリヤード卓の製造 […]

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 救命ボートに、全員は乗れない。操れるのは船長ただ一人。あなたが船長なら残る乗組員を指名できるか。幸運を祈りつつ自ら海に飛び込むか、全員残って運命をともにするか▼倫理をめぐる問いに「残る人を指名する。僕が船を操って一人で […]

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