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日本の製造業の中心地というイメージが強い愛知県にはもう一つ、県外でそれほど知られていない一面がある。花の生産地としての顔だ。五十年以上にわたり、産出額日本一を誇ってきた。温暖な気候に加え、流通の要地にあることが、大きな要 […]

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 紀元前四四〇年ごろ、ギリシャの彫刻家フェイディアスがパルテノン神殿の彫像を完成させた。彫像を見てアテネの会計官は支払いを拒んだ。「彫像の背中は見えない。見えない部分まで彫って請求するとは、何ごとか」。彫刻家は反論した。 […]

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 ジェームズ・ジョイスが二十世紀を代表する小説『ユリシーズ』を書き上げるまでには七年かかっている。休み休み書いたわけではない。毎日、毎日、机に向かった上での七年である▼こんな逸話がある。友人が落ち込んでいるジョイスにこう […]

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 古川柳の<いらぬさし買って酒屋はしずかなり>。「さし」とは「銭さし」で穴あき銭を束ねるヒモのこと。そんなもの、誰も欲しくないだろうが、江戸時代に「臥煙(がえん)」と呼ばれる火消し人足たちが新規開店の店などを狙っては売り […]

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第二次大戦開戦の前年、英国はほんの数日だけ、歓喜に包まれている。ミュンヘン会談でナチス・ドイツと協定を結ぶことに成功したという知らせがロンドンに届いたときのことだ▼<平和の意志が決定的に勝利を収めたように思われた><誰も […]

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 鬼になった女が、伊勢からやって来た。鎌倉時代末期に、そんなうわさ話で京の町が大騒動になったと『徒然草』に記されている▼およそ二十日間にわたって人々は<鬼見にとて出(い)でまどふ>という興奮状態だった。上流階級も下層の人 […]

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 どうしてもなくしたものが見つからない。こういう場合のおまじないに<清水の音羽の滝は尽くるとも失(う)せたるものの出ぬはずはなし>というのがある。若い方にはなじみはないか。これを三べん唱えると、あら不思議、こんなところに […]

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 斬られ役、殺され役から俳優としての地位を築いた川谷拓三さんに女優の梶芽衣子さんが、こんな質問をしたそうだ。「生まれ変わっても俳優をやりますか」▼答えがふるっている。生まれ変わったときは「それはもう監督でんがな。それで深 […]

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「試金石」という言葉、比喩的な意味では多用される。だが意味のもとになっている石についてはあまり知られていないのではないか▼石は通常、黒くて板状だ。金をこすり付けて、表面に残った色や薬品をかけて出た色で、純度が分かる。古代 […]

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 日本が三つの国に分かれて戦争を始めてしまった時代、若い天才物理学者は衝撃を受ける。兵器に使われているのが、彼の開発した技術だったからだ▼科学者と戦争協力、科学技術の軍事利用という重いテーマを扱ったこの物語。大人だけに向 […]

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