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 米大統領選挙を戦っていた、リンカーンにひげを生やしてと手紙で提案したのは十一歳の少女だった。「ひげを生やせばリンカーンさんのやせた顔はもっと立派になります」▼その効果か、リンカーンは当選を果たしたが、ひどい損害を受けた […]

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 夏目漱石が一時期、ひんぱんに引っ越しをしたのは有名で、熊本赴任時代は確認されているだけで六軒の家に住んでいる。わずか四年三カ月の間である。理由はさまざまで刃傷沙汰のあった家を妻が嫌がったというケースもあったそうだ▼今の […]

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 教育基本法にはかつて、こういう条文があった。<第一〇条教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである>▼ここでいう「不当な支配」とは何か。この法が可決された一九四七年三月の国 […]

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 行政府とは、何のために存在するか。『悪魔の辞典』を書いた米国の作家アンブローズ・ビアスは、こう説明した。「本来は大統領や首相が受けるべき平手打ちや蹴りを、彼らに代わって受けさせるために巧妙につくられた政治的な仕組み」▼ […]

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 二十一歳のとき、自分でもいらだたしいほど動きが鈍く、ぎこちなくなった。階段から落ちて病院に行ったが、医者にこう言われた。「ビールを飲み過ぎないことだ」▼そうではなかった。亡くなった宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング […]

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十七世紀のスペイン最大の画家ベラスケスが描いた、「フェリペ・プロスペロ王子」の肖像画。当時、二歳のハプスブルク家の王子が女の子の服を着ている▼魔よけの意味らしい。女児に比べ男児の死亡率が高く、女の子の服で悪魔の目を欺こう […]

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動物の国をペストが襲った。王のライオンは言った。これは天の怒りである。罪を告白し合い、最も罪深い者がその怒りを受け止めなければなるまい。王はまず自分からと、罪もない羊と羊飼いを食べたことを懺悔(ざんげ)した▼キツネはそれ […]

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 名作『一九八四年』や『動物農場』の著者ジョージ・オーウェルが、英国の雑誌に「あなたと原子爆弾」と題した一文を発表したのは、一九四五年の十月のことだ▼この新兵器は、世界をどう変えるか。オーウェルは、原爆の製造には巨額の資 […]

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一八八六年六月十二日、ドイツ海洋気象台の帆船ポーラ号の船長はインド洋上で、一本の瓶を海に投げ入れた。中には拾った人に、いつどこで見つけたか報告を促す文書が入っていた。瓶の流れで海流を調べるためだ▼その瓶が、ついに回収され […]

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「焼野の雉(きぎす)、夜の鶴」とは親が子を思う情の深さのたとえである。鶴は寒い夜、翼を広げわが子を温める。キジは巣のある野原に火が付けば、自分の命も投げ捨てヒナを助ける。科学的根拠はともかく、日本人はキジにそんなイメージ […]

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