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中国の故事に「将を射んと欲すれば先(ま)ず馬を射よ」とはいうけれど、源平合戦の時代にあっては「陸上の騎射戦において、敵の馬を射るのは卑怯(ひきょう)とされている」と、司馬遼太郎さんが『義経』の中で書いている。義経さん、そ […]

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 小学校の通学路沿いに住んでいるので朝はにぎやかである。子どもの声がいぎたなき、わが耳に心地良い。「ジャイアンをこらしめなくちゃ」「そうよ、そうよ」-。女の子たちの突拍子のない会話に何があったんだろうと笑いながら想像する […]

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「犬が西向きゃ尾は東」「北に近けりゃ南に遠い」-。いずれも言うまでもないこと、あたりまえであることをたとえる古い言い回しである▼分かりきったことを臆面もなく主張する者への当て付けの言葉。まだまだある。「ニワトリは裸足(は […]

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 <母さん お肩をたたきましょう/タントン タントン タントントン>。口ずさみながら親子の姿が目に浮かぶ。童謡の『肩たたき』だが、よく知られた歌い出しの先も覚えている方は、どれほどいるだろうか。歌は<母さん 白髪がありま […]

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肌に心地良い風が吹き、青葉から柔らかい光が漏れる。気分のいい季節を迎えた公園のベンチに腰掛けていると、せわしなく動く影が足元に寄ってきた。パンくずのひとつでもほしげなハトたちだ▼この平和の象徴も、二つの大戦では通信手段と […]

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 信じられぬ犬がいた。一七四五年五月十一日、ベルギーのフォントノアでフランス軍と、英国、オーストリアなどの連合軍がぶつかる。英国軍に一頭の大型犬がいた。名はムスタファ。飼い主は砲手で、ムスタファは戦闘中も主人のそばにいた […]

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 ヘラクレスが道を歩いていると、リンゴのようなものが落ちていた。踏みつぶそうとすると二倍の大きさになった。イソップの「ヘラクレスとアテナ」である▼ヘラクレスはその物体をさっきより強く踏みつけ、こん棒で殴りつけたが、ますま […]

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<雨がザーザー降ってきて あられがポツポツ降ってきて あっという間にタコ入道>。子どもの時の記憶をたどれば、こんな感じではなかったか。何かといえば、タコの絵かき歌。雨はタコの足、あられは吸盤になる▼「雨がザーザー」ではな […]

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 川端康成はノーベル賞受賞を知らされた夜、書斎で一人句をしたためている。<秋の野に鈴鳴らし行く人見えず>。巡礼の鈴の音だけが響く野を詠んでいるのだが、野に鈴(ベル)で「ノーベル」と織り込む言葉遊びだった▼受賞の知らせに< […]

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『山月記』などの作家中島敦はかなりの子煩悩だった。パラオに単身で赴任した際は毎日のように愛情のこもった手紙を息子あてにつづっている▼『チビの歌』と題した短歌も残した。子育ての日々を<明方(あけがた)をわが床に来てもそくさ […]

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