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 「君たちには無限の可能性がある」-。成人の日である。新成人に日本中でこの言葉がかけられているかもしれない▼門出を祝う日に水を差すつもりは毛頭ないが、脚本家の山田太一さんはこの「無限の可能性がある」が苦手だそうだ。「大人 […]

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今も昔もウナギは高価な食べ物で、歌人の斎藤茂吉がウナギの思い出を書いている▼訪ねていたお宅で、鰻丼(うなどん)がふるまわれたとする。この場合、客は全部食べてはいけない。「半分食べて、半分残すといふのは常識とされてゐた」( […]

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 米国などで語られている少し品に欠ける警句である。<統計はビキニ型の水着に似ている。さらけ出しているようにみえるが、肝心のところは隠されている>。英国の宰相チャーチルの言葉とする説もあるが、出どころは米国の学者のようだ▼ […]

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 最初の取材旅行に出発する時には、羽田空港のロビーに、のぼりが立ち、万歳三唱が響いたという。一九五九年のことだ。今ならば、日本の若い女性が、スペースシャトルにでも乗るような騒ぎだったと、旅行ジャーナリストの兼高(かねたか […]

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 「正岡という男は一向学校へ出なかった男だ」。夏目漱石がそう書いている。大学時代のことか。正岡とは親友、正岡子規のことである▼子規は授業のノートを借りもしない。試験の時はどうしていたか。「試験前になると僕(漱石)に来て呉 […]

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初めて、試合に出場したのは五歳のときだった。結果は敗北だった。一回戦で男の子に負けた▼男の子が首からさげている金メダルを見て、負けた女の子は「あれがほしい」と言った。父親はこう教えた。「あれはがんばって強くなった人しかも […]

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 <かなしみの片手ひらいて渡り鳥>。昨年、最も印象に残った句のひとつである。句のでき栄えもさることながら、うなったのは詠んだのが人工知能(AI)だったことである▼北大の俳句AI。膨大な過去の俳句を取り込み、学ばせた結果、 […]

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<三日食う雑煮で知れる飯の恩><飯はよい物と気のつく松の内>。二句はいずれも江戸期の川柳集「柳多留(やなぎだる)」。江戸の人も、さすがにお正月の雑煮続きにちょっとげんなりしていたかもしれぬ▼まさか<仕事はよい物と気のつく […]

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 お正月の凧(たこ)揚げの光景をめっきり見なくなった。初春の空から消えたのは一九八〇年代の半ばぐらいか。一時は和凧よりはるかに簡単に飛んだ派手な洋凧が幅を利かせていたが、それさえも最近はとんとお目にかからぬ。寅さん映画の […]

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 二〇一九年元日。謹んで御慶(ぎょけい)申し上げる。年初はおめでたい話題で書きだすことにする▼年越しそばに門松、獅子舞。日本の正月の伝統的な習慣だが、よその国の方が見れば、さぞや不思議に思えるだろう。なぜ、そばを? 逆に […]

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