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 明治時代に来日した英国の女性旅行家イザベラ・バードの旅は、古き良き人々との出会いの日々でもあった。貧しくても子どもを絆に楽しく暮らす家族、礼儀正しい肉体労働者たち、もてなしてくれる田舎の宿の主人…。約二千キロに及ぶとい […]

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 「大群獣ネズラ」は、東宝の「ゴジラ」の人気に対抗して当時の大映が企画した怪獣映画。一九六三(昭和三十八)年というから大映のヒット映画「ガメラ」より前の話である。主役は巨大化したネズミの大群。鳥の群れが人を襲うヒチコック […]

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ジム・モリス投手と聞いて、ぴんとくる人は野球ファンでも少ないだろう。大リーグ通算成績は登板二十一試合で、零勝零敗。防御率四・八〇。実働は一九九九年と二〇〇〇年の二シーズンのみ。成績だけなら見るべきところのない投手かもしれ […]

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 大相撲の世界で「恩返し」といえば、入門当時、稽古をつけてもらった先輩力士に土をつけることである▼世話になった人に勝つことが「恩返し」。先輩力士にすれば、おもしろくないかもしれないが、科学研究者の世界にも、こういう「恩返 […]

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 十八、十九世紀のドイツでは学生同士の決闘行為がよくあった。ルールがあり、命までは奪わないらしい。ハイネ、マルクス、ニーチェ、シーボルト。歴史上の人物たちも若き日の決闘の経験者と聞く▼大学時代の一年半で二十五回の決闘をし […]

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 一九七〇、八〇年代に活躍した米大リーグ抑え投手の草分け的存在である、ローリー・フィンガーズがこんなことを語っている。「救援投手にとっていやなことは失敗すれば、先発投手の勝利を台無しにしてしまうことだ」。コールマン髭(ひ […]

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  大正のころだろう。国文学者の折口信夫は山中できこりに道を聞く。返ってきた言葉に驚いた。「苗圃(びょうほ)を迂回(うかい)して行きゃ…製板(せいはん)(製板小屋)が見えるがのし」。漢字をつなぎ合わせただけの造語、漢語そ […]

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「とても美しい」。日本語として表現上の不自然を感じる方は少ないだろう。作家円地文子は違った。<文章の中で「とても」を肯定に遣(つか)う気にはならない>(『おやじ・上田万年(かずとし)』)▼「とても」は主に「~ない」などと […]

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新潮社の斎藤十一はその発想力で天才と呼ばれ、こわもてで畏怖された伝説的な編集者だ。名だたる作家を育て週刊新潮や芸術新潮などの雑誌をつくり時代を築いた。俗物を名乗り「人殺しのツラが見たくないのか」「人生はカネと女と事件」「 […]

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 力士の取組が長引いた場合、相撲をいったん止める、「水入り」のタイミングは行司にとってなかなか難しいそうで、ただ長引いたからという理由で判断するものではない。三十六代の木村庄之助さんが書いている▼相撲には流れがあって、膠 […]

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