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漫画家の東海林さだおさんが魚のサバを激励するエッセーを書いている。煮付けて良し、焼いて良しのサバだが、大衆魚の中でも気の毒な立場なのだという▼同じ大衆魚でもサンマは佐藤春夫の詩「秋刀魚の歌」のおかげで格上扱いされる。イワ […]

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 吸血鬼ドラキュラの弱点はニンニクと十字架だったが、東欧アルバニアに伝わる、女の吸血鬼の弱点はちょっと変わっている。豚の骨で作った十字架と血に浸した銀貨だそうだ。この吸血鬼、名をシュトライガという▼伝説によると蛾(が)や […]

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 明治、大正の時代に、風刺の効いた歌で庶民の心をつかんだ演歌師の添田唖蝉坊(あぜんぼう)は、「当世字引歌」の中で、こう歌っている。<「空前絶後」とは「タビタビアルコト」で 「スグコワレル」のが「保険付」…「マネゴトスル」 […]

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 災難を逃れる方法がある。そう教えているのは、江戸期の禅僧、良寛である。越後を襲った地震で子を失った知人宛ての書状に書いている。「災難に逢(あ)う時節には災難に逢うがよく候。死ぬ時節には死ぬがよく候。これはこれ災難を逃る […]

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俳優の高倉健さんが出演する映画作品を選ぶ判断基準について語っている。一つは「脚本の中身」。もう一つは出演料だそうだ。「僕はギャラの額を大切にします」と言う▼健さんが演じた人情あふれる人物たちを思えば、ドライにギャラとはや […]

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 かばんに入れたブローチがない。壁にあった絵が消えた。誰も入れない屋根裏部屋からは足音が聞こえてくる…。米映画の「ガス燈」である▼度重なる怪現象にイングリッド・バーグマン演じる女性はついに自分がおかしくなったと信じ込むよ […]

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 一九九三年の発表というから携帯電話が爆発的に広がる前夜の歌だろう。森高千里さんが作詞し、歌ったヒット曲『渡良瀬橋』に記憶に残る一節がある。<床屋の角にポツンとある/公衆電話おぼえてますか/きのう思わずかけたくて/なんど […]

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 敗戦後、進駐軍の接収などを受けて、建物や公園の名称が日本名ではなく英語名に一時的に変わった。かつての東京宝塚劇場は米従軍記者の名から「アーニー・パイル」。横浜公園球場はヤンキースの強打者にちなみ「ルー・ゲーリッグ・メモ […]

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 両国橋の上で俳諧師の宝井其角(たからいきかく)はかつての弟子にばったり出会う。男は煤竹(すすたけ)売りに身を落としている。あまりの変わりように其角が驚き、こう発句する。<年の瀬や水の流れと人の身は>。煤竹売りはこう返す […]

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 「白黒で三千円、カラーで五千円」。男が耳元でささやく。男がお金を取って見せようとしているのは昔のテレビ番組。倉本聰さん脚本のドラマ「6羽のかもめ」(一九七四年放映)の一場面である。テレビの低俗化に業を煮やした政府がテレ […]

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