2018年11月19日
酔った藩士の刃傷事件を反省し、ある藩が禁酒を宣言した。門の前には番屋を置き、酒の出入りを固く見張る。古典落語の「禁酒番屋」である。五代目柳家小さんが酒を実にうまそうに口にする場面が懐かしい▼無論、禁を破る不届き者もでて […]
2018年11月17日
「進化論」のダーウィンは後悔の言葉を残しているという。<私の仲間たちの生き物に対して…よいことをしてやれなかった>。ウイリアム・デイビス編『ベスト・ワン事典』に教わった▼地中のミミズから赤道直下の鳥たち、さらに植物まで […]
2018年11月16日
憂うつだった<私>は、一個のレモンを手にした時から、幸せを感じる。梶井基次郎の代表作『檸檬(れもん)』にある有名なくだりだ。<つまりはこの重さなんだな…この重さはすべての善いものすべての美しいものを重量に換算して来た重 […]
2018年11月14日
米国では、大学一年生のことを「FRESHMAN」(フレッシュマン)と呼ぶ。以下、二年生は「SOPHOMORE」(ソフォモア)、三年生は「JUNIOR」(ジュニア)、四年生は「SENIOR」(シニア)。数字を使わずに表現 […]
2018年11月13日
「政治家に大切なものが二つある」。十九世紀の米政治家マーク・ハナが言っている。マッキンリー大統領の参謀だった人でいわく「ひとつはマネー」。なるほど。「もうひとつは忘れた」。金しかないのか▼お金もそうだが、今の日本の政治家 […]
2018年11月10日
冥土に通じる六道の辻(つじ)と考えられた場所が京都にある。あの世とこの世の境目だ。ここの飴(あめ)屋に毎夜、青白い顔の女が訪ねてきた。一文銭を手に「ひとつ売っていただけませんか」。落語にある『幽霊飴』である▼「どうもあれ […]
2018年11月9日
中国の五行説は、四季に四色を配している。青春、朱夏、白秋、そして黒い冬、玄冬だ。青春時代があるのなら、他の三つの時代が人生にあってもいいのではないか。宗教評論家のひろさちやさんがかつてそう主張していた▼そのうえで、白秋 […]
2018年11月6日
「あなたの肝臓をいただきます」。日本語だと、身の毛のよだつ怪奇映画の題名みたいに聞こえるが、ペルシャ語でこう言われたのならほほ笑むべきかもしれぬ。このおそろしい言い方で「あなたのためなら何でもする」「心から愛している」の […]
2018年11月5日
英国の作家オスカー・ワイルドはこう書いている。<人はそのままなら、自分に正直になれない。仮面を与えよ。そうすれば、真実を語るだろう>▼仮面は人に力を与える。非日常の世界に人を導く。世界共通の力ではないか。一部の行いではあ […]
2018年11月1日
「おしん」「渡る世間は鬼ばかり」などの脚本家、橋田寿賀子さん(93)は大学在学中に映画会社の入社試験に合格した。戦後間もない時代。当時、その世界での女性進出はまだ珍しく、入社しただけで雑誌のインタビューなども受けたそう […]