今日の東京新聞
今日の筆洗

 口では立派なことを語っていながら、正反対のことをやっている。そんな人々には、イソップも厳しい。キツネときこりの寓話(ぐうわ)だ▼狩人に追われ、キツネが逃げてきた。きこりは小屋に隠れるよう勧める。狩人が来ると「見ていない […]

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今日の筆洗

これは度を超えている。心の中でそう繰り返してしまう。連日の暑さである。頭の上からあぶられ、照り返しにやられ、ビルの影に身を寄せても、熱い風があおってくる。一瞬、逃げ場を見失う。こんな暑さが、子どもを含め多くの命を奪ってい […]

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今日の筆洗

「モトシキ」という専門用語が演劇界にはある。ロシア語のようだが、日本語である。せりふが明瞭で鍛えられた俳優のことをそう呼ぶ▼「元四季」。劇団四季の出身者のことである。それほどその劇団の訓練は厳しい。「観客に聞き取れないセ […]

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 電車は混み合っている。若い女性が持っていたバッグにぶら下がるトレードマークに目が留まる。MとKの文字を組み合わせて作ってある。どこかで見たことがある▼あれは「メタクソ団」のバッジと確信する。四十年ちょっと前の漫画の登場 […]

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次の英文を訳しなさい。<YOU MIGHT OR MORE HEAD TODAY’S HOT FISH>-▼分からなくてもお気になさるな。でたらめな英語で一種の駄じゃれ。これで、「言うまいと思えど今日の暑さかな」。HEA […]

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司馬遼太郎の『関ケ原』で描かれる石田三成は切れ者だが、どうも、不器用な人物である。よく言えば、真面目で筋が通っている。悪く言えば、融通が利かぬ。そして関ケ原で大敗する▼ドラマ「関ケ原」で三成を演じた俳優のところに母親から […]

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7/8の筆洗

「雨禁獄(あめきんごく)」とは雨を獄に閉じ込めることで、白河法皇の故事に由来する。ひどい雨のせいで自分の行幸を何度も延期せざるを得なくなった法皇は腹を立てて、降る雨を器の中に入れ、それを監獄に置いて罰したと、源顕兼の「古 […]

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 冷戦期には、今では考えられないような米ソの逸話が残っている。一九七〇年、米国の高官ハルドマン氏の部屋に、同じく高官だったキッシンジャー氏が駆け込んだ。「大統領に会わなきゃいかん」。手にキューバの航空写真。港の近くに、サ […]

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今日の筆洗

 八歳の少年がトロッコ押しを手伝っているうちに遠くまで来てしまった。もう日が暮れる。「蜜柑(みかん)畑へ来る頃には、あたりは暗くなる一方だった。『命さえ助かれば』」-。芥川龍之介の『トロツコ』である▼幼き冒険心、好奇心に […]

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今日の筆洗

 落語の「付き馬」の中に浅草寺の境内で鳩の餌を売るおばあさんが出てくる。おばあさんを久しぶりに見かけた男が、こんなことを言う。「あそこにおばあさんがいるでしょう。あのおばあさん、あたしが子どもの時から、あのまんま、あのお […]

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